2018. 03. 26
ロングレース後半は疲労で身体が動かず、ペースダウンを余儀なくされる──誰にも当てはまることだが、その原因のひとつとなっているのが処理しきれない乳酸にある。身体にとっては0.1molの乳酸でも大きな負荷になる。序盤のうちはまだそれを打ち消す元気があるが、疲労が徐々に増すとまるでオモリのようにズシンと響いてくる。東京大学大学院で運動生理学を専門的に研究する八田秀雄教授によると、LT値(乳酸2mmol)以上の強度では、血中乳酸濃度が上昇するだけでなく身体への負担が高まり、主観的に「きつい」と感じ始める。長距離走のパフォーマンスは乳酸との関係が深いのだ。またレース後半には、補給で摂取されたグリコーゲンも乳酸として蓄積されてしまう。そんな後半の失速に打ち勝つためのキーワードが「乳酸分解力」だ。身体の乳酸を素早くエネルギーに転換させるこの力が、後半戦の持久力の鍵となる。
そんな乳酸分解力を向上させると注目されているのがカツオ・ペプチドだ。時には時速100㎞/mという速さで、一生泳ぎ続ける天然の鰹から抽出されたもので、乳酸の分解を促進して疲労回復を助ける。今回はそれを用いて前代未聞の実験を行なった。その内容は運動中の人体の乳酸を分解する能力を向上させたら、運動パフォーマンスにどんな変化が起こるかを検証するものだ。このプロジェクトに挑んだのは、上に並ぶプロのランニングコーチら5人。被験者5人に対して運動前にカツオ・ペプチドを摂取しない状態と摂取した状態の2条件で、トレッドミルを用いて3分間のランニングを7回、段階的にペースを上げてLT値を測定した。その結果、カツオ・ペプチドを摂取した場合、血中乳酸値が減少した。これはカツオ・ペプチドが運動中の乳酸(エネルギー源)を効率よく分解して、運動持久力を向上させた可能性を示した。
血中乳酸のエネルギー量は糖(グリコーゲン)の約15倍。血中乳酸を効率よく分解し、エネルギーに転換できればレース中のパフォーマンス向上につながる。血中乳酸濃度は生産量と分解量とのバランスで決まり、血中乳酸の減少が速いということは乳酸分解力に優れ、大きなエネルギーを得ることができることを表す。"カツオパワー"を活かせば、レース後半の失速を最小限に最大の結果を得られるかもしれない。
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